第8回:【命を守る】茨城の山での遭難対策と電波の基礎知識
- 3月3日
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1. 「標高が低いから大丈夫」という慢心の罠
こんにちは。茨城在住、楽天社員です。 2026年に入り、茨城県内でも登山ブームは定着していますが、残念ながら山岳遭難のニュースも後を絶ちません。
特に注意が必要なのが、筑波山や宝篋山(ほうきょうさん)といった「低山」です。 「標高1,000mもないし、つくば市街がすぐそこに見えるから大丈夫だろう」 この油断が、道迷いや準備不足を招きます。
山でのトラブルの際、最後に頼りになるのはスマホですが、電波の知識がないと、その命綱は簡単に切れてしまいます。今回は社員として、そして一人のハイカーとして、**「山での通信の生死を分ける分水嶺」**について、2026年の最新事情を交えてお伝えします。
2. 2026年4月の激変:3G停波と「緊急通報」の真実
まず、今すぐ確認していただきたい非常に重要なニュースがあります。 2026年3月31日をもって、ドコモの3Gサービス(FOMA)が完全に終了します。
「自分は最新の楽天モバイルの4G/5Gスマホだから関係ない」と思っていませんか? 実は、大きな落とし穴があります。
圏外でも「110番」ができる仕組みの誤解
よく「自分のキャリアが圏外でも、他社の電波があれば110番や119番は繋がる」と言われます。しかし、これは海外の一部の規格の話。日本の今の仕様では、契約しているキャリアの電波(またはローミング先の電波)が全く入らない場所からの発信は、極めて不安定、あるいは不可能です。
さらに、2026年4月の3G停波以降、古い4Gスマホの一部(VoLTE非対応機種)は音声通話自体ができなくなります。 「いざという時に緊急通報ができない」という最悪の事態を避けるためにも、自分が持っている端末が最新の通信規格に完全対応しているか、必ず確認してください。
[画像:山の中で「圏外」表示を見つめる登山者の手元。キャプション:圏外では110番すらできない可能性がある。これが日本の登山の現実です。]
3. 電波の「死角」を科学する:どこなら繋がるのか?
第6回でプラチナバンド(700MHz)の話をしましたが、電波には「光に似た性質」があります。これを理解しておくだけで、遭難時の生存率が変わります。
尾根・山頂(◎ 繋がりやすい): 障害物がなく、麓の基地局からの電波を見通せるため、非常に安定します。
谷・沢沿い(× 絶望的): 四方を斜面に囲まれるため、電波が遮断されます。奥久慈の美しい滝の周辺などで、急にアンテナが消えるのはこのためです。
樹林帯(△ 減衰する): 水分を含んだ木の葉は電波を吸収します。特に雨の日の森の中は、晴天時よりも電波が弱くなります。
社員からのアドバイス: もし遭難して救助を呼びたいなら、**「少しでも高い場所、開けた場所」**へ移動してください。わずか5m移動するだけで、圏外がアンテナ2本に変わることもあります。
4. 命をケチらないための「スマホ装備」3種の神器
通信費を削って「自由に使えるお金」を増やすのは素晴らしいことですが、安全のための装備まで削ってはいけません。
① モバイルバッテリー(必須)
山で電波が弱いと、スマホは必死に基地局を探そうとして猛烈にバッテリーを消費します。 「頂上で写真を撮りすぎて、下山時に電池切れで地図が見られない」 これは茨城の山で最も多い失敗パターンです。お守り代わりに必ず5,000mAh以上のバッテリーを持ち歩きましょう。
② オフライン地図アプリ(YAMAP / ヤマレコ)
電波がなくてもGPSさえ生きていれば、現在地はわかります。登山前に必ず地図をダウンロードしておきましょう。 最近では、「登山届」と連携して、家族に現在地を自動共有する機能もあります。楽天モバイルユーザーなら、こうしたアプリを使いこなすことが「賢い選択」の必須条件です。
③ 予備回線(povo 2.0など)
第5回でも触れましたが、月額0円で維持できるau回線をサブに入れておきましょう。 「楽天は入らないけどauなら入る」という場所は、残念ながら茨城の山にはまだ存在します。その「数百円の安心」をケチるべきではありません。
5. 具体的アクション:登山前にすべき「通信設定」
機内モードの活用: 登り始めたら機内モードに。電池温存しつつ、休憩ポイント(見晴らしの良い場所)でだけオフにして現在地を送信します。
緊急通報用アプリのインストール: 茨城県警などが推奨する通報システムや、位置情報を警察に直接送れる機能を事前に設定しておきましょう。
家族への「定期連絡」宣言: 「12時に筑波山頂からLINEする。15時まで連絡がなければ遭難を疑って」と事前に伝えておくだけで、救助開始までの時間が劇的に短縮されます。
6. まとめ:賢い節約は、安全の上に成り立つ
「安くておトクな楽天モバイル」を心ゆくまで楽しむためには、まず無事に家に帰ることが大前提です。
社員としても心苦しいですが、通信インフラは万能ではありません。 特に2026年4月の3G停波という大きな節目を控え、山での通信環境は「過渡期」にあります。 プラチナバンドや衛星通信(第4回参照)といった新しい技術に期待しつつも、「今ある道具をどう賢く使って自分を守るか」。
その知恵を持ってこそ、浮いたお金で楽しむ「下山後の美味しい食事」が、より一層輝くはずです。
次回は、山を降りて少し現実的なお話。「パートナー回線(au)終了後のエリアの真実」についてぶっちゃけます。



